歴史ってなんでしょうね?
一瞬でも過去の事であれば、確かな事ってなにもないと思うんです。
自分が知っている(と思っている)事が「真実」なんですよね。「事実」はまた別の物語。
前に書いた三国志に関しても、正史だろうが演義だろうがどちらも「時代小説」であることには変わりありません(と個人的に思ってます)。
正史だから正しい歴史だとは限らないんですよね。「確定した事実」なんて後からいくらでもひっくり返ります。
私にとって大事なのは「自分にとって面白いかどうか」だけです。面白くなければ学ぼうとすら思わないし。
今回はいろいろと批判のあった(らしい)こちらをご紹介。
塩野七生さんの「ローマ人の物語」
単行本は15冊、文庫本は43冊になります。43冊となるとさすがに多いな~と思いますが、1冊が短いのでそれほど時間はかからないかも。
好きな本といいつつ、全部は読んでないんですよね。すみません。
単行本で25冊目くらいで止まってます。他の本を読み始めて、そのまま中断してるっていうか…。
ローマの歴史に関しては学校でも少しは習ってるはずなのですが、まったく覚えていませんでした。たぶん当時は興味がなかったんですね。
中学校や高校の頃は、歴史に関しては中国史しか興味なかったし。
大人になってから中国以外の事も学ぼうかなと思ったのですが、何を読んだらいいのか分からず、本屋で目にしたこれを読むことにしました。
3冊くらいをまとめて買って、それを読んだらまた3冊くらい買って、という感じですね。おかげでダブって買ってるのが何冊かあります…。
「歴史書」というと硬くて読みにくいイメージがありますけど、この本は平易に書かれていてとても読みやすいですね。(「歴史書ではない」という批判はここではおいておきます)
作者の興味の波があるのか分かりませんが、ちょっと教科書チックなところと熱の入ってるところとあったりしますね。個人的感想です。
ハンニバルのとこや、カエサルの時代のところは特に熱が入ってたような…。作者はカエサルが好きっぽいですね。この辺は特に面白かったです。あとカルタゴとの戦いのとことか。
挿絵なんかも豊富で、見たことのない服装や兵器、船など、想像するのが難しいものも絵があるのでとても分かりやすいですね。
自分にとってはこの本が「ローマの歴史」です。いろいろと変な箇所があるらしいですけど、まあ細かいことはいいでしょう。別に自分でローマに関する本を書くわけでもないし。なんとなくで良いんです。
ちなみにここにはあらすじみたいのを書くつもりはありません。歴史だからあらすじっていうのも変ですけど。
紀元前のローマと中国を比べてみると、その政治の体制ってかなり違いますね。
ローマは最初は王政でしたが、かなり初期の頃に共和制(政?)になっています。みんなで国のトップを決めましょうってやつ。
しかもそのトップ(執政官)の任期は短くて、1年ごとに変わる。しかも2人体制。独裁ってのを相当嫌ってたのかな?
でも「独裁官」って役職もあったんですよね。国の非常事態のときだけ選ばれる。これの任期は短かったような。半年だったかな?
一時的に力のある人に権力を集中させて難局を乗り切るって事ですが、悪くないシステムだと思うんですよね。
非常事態にたくさんの人たちがあーだこーだ言ってて、何も決められずにどうしようもない状況に追い込まれるよりは。
まあそれを終身制にして共和政を壊したのがカエサルですけどね。
ちなみにカエサル(ガイウス・ユリウス・カエサル)は「皇帝」ではないんですね。あくまで帝政の基礎を作った人という感じでしょうか。
後の皇帝たちが自分の名前に「カエサル」を入れちゃってるんで訳分かんないですけど。「皇帝」の代名詞みたいになってますね。
ローマの初代皇帝はカエサルの養子であるアウグストゥスですね。これも歴史の授業で習ったんでしたっけ?さっぱり覚えてないですけど。
中国では一貫して血統による支配ですね。子供が引き継ぐ。易姓革命があって国を統治する一族が変わるって感じ。
カエサルの「ガリア戦記」もついでに読みましたが、翻訳のおかげもあるんでしょうけど、この時代にここまで整った散文があったのに驚きました。とても読みやすいですね。…やっぱり翻訳のおかげなのかな?
「ローマ人の物語」で印象に残ってる言葉。「たいていの人間は自分の見たいものしか見ようとしない」。カエサルの言葉だそうです。
作者はこの言葉を何度か繰り返していましたね。
自分は「たいていの人間」に入っちゃうな~と何かあるたびに思いますね。まあ、特に投資に関してですけど。
将来こうなったら爆益だ~と思ったら、利益の事しか考えなくなるんですよね。損失の事が頭から抜けちゃう。
見たくないものもちゃんと見ないといけないですよね。それができないんで今こういう状況ですけど。(週次報告とか見ていただければ分かります)
まあ、この本に関してはいろいろな歴史家からは批判があるそうですが、歴史は全て「物語」です。自分にとっては。
新しい発見があればすぐに変わりますしね。「これが正しい」「それは間違ってる」なんて誰にも言えません。
この本をきっかけにローマの歴史に興味を持った。それで十分だと思うんですよね。
あとは自分なりの歴史を見つければ良いかと思います。「事実」はまた別の物語。
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